ほんの少し昔を追いかけて:エドワードグリーン インバーネス

僕は今のところ物を売ったことがありません。
興味はあるのですが、特にきっかけもなく……。
今回はドレスシューズの紹介ですが、ドレスシューズにおいては中古品を購入したこともないんです。
但し例によって兼ねてから興味はあったので、様々な中古販売サイトを巡回していました。

しかし、ここは神戸。
名だたる中古靴ショップの情報はあっても、そのほとんどが簡単に訪れることができない場所にあります。
結局、履きもせずに信頼関係もないショップから購入する勇気はなく、今日まで購入には至りませんでした。

…と、こんな前置きからなんなのですが、今回購入したのは中古品ではなく新品です。
しかし現行品ではありません。ここがポイントで、ずっとなんとなく探していたモデルだったんですよね。

◆Edward Green INVERNESS

御託は一先ずおいておいて、早速靴を見てみましょう。

バーガンディからのイミテーションブローグウイングチップ、INVERNESS(インバーネス)です。
インバーネスといえば、スコットランドはネス湖のそばにある街で田舎風情に囲まれた土地の名前ですね。
関係があるの存じ上げませんが、僕はインバーネスに4日ほど滞在したことがあるので少し懐かしくなりました。

写真の具合でかなり赤く見えますが、実際にはもっと暗くアンティークがかったカラーです。

◆ディティール

細かく見ていきましょう。

ブローグは若干ズレている個所がありますがそんなことは気にしません。
特筆したいのはイミテーションブローグ。革の継ぎ目がなく、ステッチでウィングチップを表現しています。

トウ部分ではなく、履き口側のパーフォレーションは革を継いでいるのでホールカットではありません。
但しギザギザのピンキングがあるタイプではないので、全体的にブローグシューズでありながらミニマルな雰囲気を纏っています。
この写真はまだ色味が表現されている方ですが、トウ部分のルビー色が良いですね。
熟成されたボルドーワインのような、深い色味です。

インソックは横文字表記。
このロゴは一説によると2004年~2014年頃に使用されていたとのこと。
新品ですが、製造は6年~16年前ということになります。
10年使用されたロゴの為年代幅が広いですが、ここが購入の決め手にもなりました。

◆ラストについて

ラストは888。トニー・ガジアーノ氏が手掛けたラストです。
細身でスクエアトウ。まさに現代のガジアーノ&ガーリングを予見しているかのようなラスト……。

尤も、ガジアーノ&ガーリングの設立は2006年なのでこの靴を制作しているときはきっとガジアーノ氏は居ませんね。

現行でもこのインバーネスはモデルとしてありますが、オフィシャルサイトで既成品として販売されているのは82ラストでした。
同じくガジアーノ氏が手掛けたラストですが82ラストはアーモンドトウ。
趣は違いますが、どちらもモダンでスタイリッシュな佇まいです。

◆エドワードグリーンのバーガンディ

このカラーについては様々な知見をお持ちの方がいらっしゃるようですが、「色抜けが激しい」と評判。
とりわけこのロゴ表記時代はそういった報告が多いのだとか。
個人的には色抜け大歓迎なので、少し昔の個体で良いバーガンディがあればいいなあ…なんて思っていたところにこの出物でした。
Dウィズは少しタイトすぎますが、新品でこの年代。もう手に入ることは無いだろうと購入に乗り切った次第です。

◆着用

履いてみると、やはりタイト。ですがそこは沈み込みに期待ですね。
アッパーが慣れて、コルクが沈み込み、全体的に馴染んだ頃には案外Dウィズの恩恵に与れるかもしれません。

◆まとめ

今回購入したのはラスタイルシューズショップ
冒頭の通り、中古靴販売店としても初めて利用しましたが本当に良かった。
事前にあれこれ相談していたのですが対応も素晴らしく、プレメンテも明らかに丁寧に施されている。

そしてこの出物。
運が良かったと思います。
今後も中古市場も含めてチェックし、次は中古靴デビューもあるかもしれませんね。

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装い、メソッド。

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